線維筋痛症とは

線維筋痛症とは


顧問 藤永 洋 / 富山県立中央病院 内科 和漢・リウマチ科 部長

線維筋痛症とは、全身の広範囲に拡がる疼痛を主症状とし、強い疲労や倦怠感、不眠や抑うつ状態、目・口の乾燥症状など、さまざまな身体・精神症状を伴う疾患です。日本の一般人口当たり1.7%、すなわち全国に約200万人の患者がいるとされています。線維筋痛症は一般的な血液検査や画像検査などに異常を認めず、気のせいとか心の病だと言われることがあります。しかし、最新の研究から痛みを感じる中枢神経の異常な過敏状態が線維筋痛症の本態と考えられています。線維筋痛症の痛みは、限られた範囲の痛みが取れない状態が続き、それが徐々に全身に広がっていくことが大半です。適切な治療を早めに開始し、痛みの悪循環を絶つことが大切です。まだ完全な治療法は確立していませんが、効果の証明された薬や非薬物治療(認知行動療法、運動療法など)があります。
線維筋痛症は決して不治の病ではありません。正しい知識を持って、前向きな気持ちで病気に対することが大切です。